鈴木理策が吉野山の桜を撮った『桜』。このシリーズがたまらなく好きなんだけれど、ヒステリックグラマーからでてたこのシリーズの最初の写真集も、あと確かギャラリー小柳から大判サイズででてた写真集も、高いなーとか思いながら買い逃していて、なんとかこの都現美のカタログだけは購入し、冬から春にかけてのこの時期には必ず開く写真集になっている。(でもやっぱりでかいサイズのやつは手に入れよう)
この桜の写真には、例えばJ-POPにおけるような「桜」というテーマの陳腐さとは対局にあるような崇高さがあり(だからといって、「桜」が神風特攻隊のメタファーだったとか、死の象徴とかいう意味の崇高さではなくて)、そのことは、同書に収録されている鷲田清一の論考の一節でも的確に指摘されている。少し抜粋してみると、
〜〜「桜」という、だれもが何かを歌いたくなる、そんな<物語>への陳腐な誘惑をかわし、<意味>による盛り上がりをも禁じながら、どこに向かうかもわからない妖しい軌道を描く。〜〜
鈴木理策のこの桜に対する視線は、世界をストレンジャーとして見たからこその「囚われない」視線であり、ぼくは初めてこの写真を見たとき、日本人にとってあまりにも意味を持ちすぎた花の生身の姿を見せつけられたその瞬間に、「桜」であることは分かるんだけれどなんだか理解できないものに対峙したような感覚に陥ってしまって、それは<物語>と<意味>を探ろうとするいつもの視線がパニックに陥ってしまっていたんだと思う。
象徴的なものほど実際、そのものを見てなかったりするんでしょうか。
あと、梶野さんのブログで知ったACID WASHEDのアルバムがやはり、というかさいこうだった。
http://cherchem.exblog.jp/14053275/
Tomoh:
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